牛たちが教えてくれた想定外の依頼先
遠くに白糠丘陵と阿寒の山並みを望む広大な放牧地と採草地。緩やかにうねる一面の緑の丘陵地の頂にポツンと赤い平屋が建つ風景は、絵本の世界そのままです。ここは、足寄で酪農を代々営んできたCさんの3代目若夫婦が2年前の暮れに完成させたマイホーム。放牧地を一望するその土地は、仕事をしながら「いつかはここに家を建てたい」と思っていた場所でした。
結婚して2年が過ぎた頃から、Cさん夫妻は帯広市内の住宅展示場や施工会社をめぐり、新築の依頼先を探し始めました。「何度か通いましたが、今ひとつ僕らの心に響く会社がありませんでした」。途方に暮れていたCさんの脳裏をよぎったのが、10年以上前に牧場施設の建築を依頼した、地元の外田組。
「近いこともあり、軽い気持ちで訪ねました。社長の菅原智美さんが、僕ら素人の希望を熱心に聞いてくれて、感激しました。まさに燈台下暗しでした」。お気に入りの丘で草をはむ牛たちに導かれるように、Cさんは外田組に新築を依頼。難航していたご夫妻の新築計画は、一気に現実のものとなりました。
土地にあるものを活かしきる住まい
ご夫妻は、丘陵地や山並みを一望するロケーションの良さを暮らしの中で楽しめる平屋づくりの新居を希望。「眺めが良い分、この丘陵地は風が強く、Cさんが希望された平屋は、土地の環境にも最適でした」と、菅原社長。そして、管内でも有数の寒冷地である足寄で快適に暮らせるよう、高断熱・高気密で耐久性に優れた2×6(ツーバイシックス)工法を採用したプランを提案しました。
Cさんは、打ち合わせで訪れた会社で薪ストーブや関連書籍を見て「敷地内の倒木を有効活用できるのでは」と考えたそう。外田組では、林業が盛んな土地柄を生かし、高断熱・高気密住宅にマッチするストーブや燃料の販売、設置なども手掛けています。薪ストーブに関心を持っていたCさんにも、これまでの経験を生かし、主暖房に薪ストーブを採用した燃費の良い住まいづくりを提案しました。
「僕らの漠然とした考えを、一歩も二歩も進めた提案をたくさんしてくれたおかげで、理想を超えたマイホームになったと思います。打ち合わせや施工期間中も、今思い返すと本当に楽しい時間でした」。
困った時に頼れる暮らしのパートナー
大地が凍てつく12月、ご夫妻は新居で初めての冬を迎えました。LDKを中心に東西に個室を配した住まいは、薪ストーブの炎だけで全体が暖かく、二人を驚かせたそう。「夜も寝る前に薪をくべれば、朝まで家全体が暖かいんですよ。搾乳作業があるので、朝は4時起床。目覚めてすぐにストーブに薪を足すのも、冬の日課になりました」。
さらに、窓辺の景色が一面の緑に変わる頃、リビングに隣接して設けたウッドデッキは、ご夫妻お気に入りの星空ダイニングに。夕方の牛舎仕事を終えた後、デッキで炭をおこして食べる焼肉は格別とか。「家は3度建てないと満足できないとよく言われますが、僕らは最初の1軒目で理想以上の住まいを実現できました。家づくりに関わってくれたすべての人に、大感謝です」。
新居完成後も外まわりの整備やストーブのメンテナンスなどで、菅原社長やスタッフがCさん宅を何度も訪れているそう。「私たちは地域に根ざした便利屋さんであり続けたいんです」と菅原社長。Cさんも「気軽にいろいろとお願いできるので心強いです。回り道しましたが、外田組さんを選んで正解でした」と、笑顔で話してくれました。