会員エッセイ
住宅建築業者の選定に思うこと
STV興発梶@北島寿一〜

「住宅は一生に一度の買い物だ」とよく言われます。また「二度建てられる人は幸運な人」だとか、「住宅は三度建てないと本当に良い家はできない」等とも言われます。

札幌では土地を含めると3千万円前後の買い物ですから余程の高収入の方か遺産に恵まれた方とかでない限り三度も家を建てることは無理なことです。それだけに建築業者の選定は熟慮に熟慮を重ねるべきことの筈です。

ところが、私が知っているかなりの割合のお客様の業者選びが、かつて私が失敗した思考とあまり変わっていない様に思われるのです。

私は、住宅に関わるようになる以前、住宅業界とは全く異業種の会社に勤務していました。当時、自分の住宅を建てたいと思って夫婦で始めた行動は、カッコ良く見える外観の住宅を探し、美しい写真満載の住宅雑誌を見て当時流行った外国製の石油ストーブや出始めのシステムキッチン、その他調度品をどうやって取り込むか、要するに夢を見ることでした。

業者は、友達がいると言うだけで安心できると勘違いして決めてしまいました。自分たちが設計した住宅に住み満足できたのは最初の1年間だけでした。とても悔しかったことを思い出します。順序は全く逆になりましたが、それから住宅のことについて素人なりに勉強しました。恥ずかしながらそこで分かったことは、住宅造りは感性ではなく工学だということです。勿論、感性は絶対に必要ですが工学がベースにあってのことだと悟りました。

約300万円の投資はフイにはなりましたが、幸いにも第一次石油ショック以前のことでしたので、その後の所得の伸びもあって十数年後には先にあげた「幸運な人」になることができました。20数年経過した2度目の住宅に今も、ほぼ満足して住んでいます。

この前、ある方から自慢の新築住宅を見に来ないかと誘われました。坪単価(私はこの表現は嫌いですが)80万円とのことです。美しい外観とよくまとまった平面・空間プラン。さすが高所得者層に圧倒的な人気の住宅会社の建物は素敵でした。その方も以前の住宅と比較して「高断熱高気密だからとても暖かい」と大層ご満足の様子でした。私は同社の建築中の物件は時々見ていましたので大体の構造的(工学的)なことは知っていました。我々アース21の仲間が建てる住宅と比較して熱性能レベルでは圧倒的に我々の方が優れていることを。案の定、その家では足もとが寒く、コンセントボックスからは隙間風がかなりの勢いで侵入していました。

今、ほとんどのお客様は、新築したご自分の住いが暖かいと満足されています。その感覚は、以前住んでいた住宅との比較なのです。だからどんな家でも暖かく感じられるのだと思います。

今年は、地球環境を主題にしたサミットが洞爺で開催されます。先進国レベルでは日本の民生部門の環境問題に対する取り組みの遅れが問題になっています。特に住宅では、アース21で研修したドイツと比較して日本はまだまだのように思えます。もっと厳しい規制が住宅に掛けられて、それが一般的になったとき、デザイン重視の住宅のユーザーが抱く、であろう不満はどうなるのでしょうか。

我々アース21のメンバーは、「一生に三度」では無く「一度」で満足のできる住宅づくりを目指しています。しかし、どうしたらそれを伝えられるのか、より深く考えなければなりません。住宅の価値の大きな要素であるデザインにも力を注がなければなりません。そうしたことで「一生に一度で満足できる住宅造り」を実現できるのだと思います。そう言えば、今、お客様の60%の方が住宅造りにインターネットを利用するそうです。自社のホームページの見直しもせずにお客様の業者選びのことで偉そうなことを言ってしまいました。





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